クリスマスローズと病害虫
クリスマスローズは、普通、病気をあまりせず丈夫で良く育つことで知られています。ただし、年数が経って数も増え、株も大きくなってくるにつれて病気が発生してきます。クリスマスローズが枯れるとすれば、夏場の水やりや直射日光に当ててしまったこと、他には病害虫の影響も考えられます。まずはクリスマスローズが健全に育つような環境に置くことがいいようです。また真夏の暑さに耐えている時に肥料を与えるのは控えましょう。
- 病害虫予防
まず、病気にかかっていないか、虫がついていないかを確認して健全な株を購入することが重要です。そして、花を楽しみながら葉や茎など気にかけ観察しましょう。手のつけられない状況になる前の対処に心がけ、早期発見がとても重要です。
- 葉が食べられている場合
害虫種類 |
症 状 |
対 処 法 |
ハダニ |
葉から栄養を吸汁、成長を阻害 |
・葉の裏側などを水で流す ・見つけ次第除去する |
ヨトウムシ |
葉や茎を食害 |
・葉の裏を確認し、卵をみつけたら葉ごと除去 |
ヨウトウムシ
ヨトウムシやその他のイモムシ類、葉がくるりと巻かれてぶら下がるハマキムシの被害の可能性もまります。ヨトウムシは土の中に隠れているので、探し出して潰す、ハマキムシも葉の中に卵があるので潰すなどして被害が大きくならないようにします。
- アブラムシ・ダニ
アブラムシ
見つけ次第取り除く、もしくはそれ専用の殺虫剤をかけるのも方法の一つです。初期であれば、ホースの水などで洗うと落とす方法もあります。
- 病気の対処と予防
植物の病気は大きく3種類に分かれます。1.カビ、2.細菌、3.ウィルス。もちろん、それぞれに農薬はありますが、発生の予防が主ですから、治療効果はあまり期待しないほうがよいでしょう。風通しを良くして、密植させないことがポイントとなります。
①灰色カビ病(ボトリチス病)
灰色カビ病は、温室やビニールハウスで草花や野菜を栽培する際に、必ずといっていいほど発生する病気です。
秋から冬・春にかけて、空中湿度が高い環境で発生しやすく、クリスマスローズの場合、茎から葉、花に至るまで灰色のカビがつきます。
庭植えの場合でも、葉や花茎の根元部分が侵され、倒れてしまいます。また、雄しべの葯が株元に落ちた状態で放置すると、灰色カビ病菌がついて拡大の原因となるので注意が必要です。
トリアジン、ダコニール、ベンレート、オーソサイドなどを交互に散布します。
灰色カビの発生が広範囲の場合は、漂白剤(ハイター等)を50倍に薄めて罹病部に撒布すれば効果があります。
② 苗立枯病(カビ)
苗立枯病の特効薬として使われるのが、農薬のリゾレックスです。原種リビタスに発生しやすいようです。
③ 軟腐病(細菌)
軟腐病は、夏の高温期に水に溶けて拡大します。ですから、大雨や台風直後は特に注意が必要です。
クリスマスローズの鉢は、直接地面に置かないようにしましょう。
軟腐病にかかると、株元が軟らかく腐ってきて、悪臭を放ちます。1つ発生すると、あっという間に広がります。農薬はボルドー液や抗生物質のマイシン系農薬(アグリマイシン)の散布が有効です。
④ ブラックデス(ウィルス)
ブラックデスは植物の体内に寄生する病気です。コールタールがついたような黒い斑点が葉や茎に出て、萎縮した状態になります。元気な株が突然に発病することがあります。
その場合、いっけん見た感じは健康な状態になることがあります。これは体力が回復したので病原体が隠れた状態であると考えられます。
一般にこのウィルスはアブラムシを通して伝染するようですが、アザミウマ(スリップス)やダニ(特にホコリダニ)などの吸汁性害虫による伝染も考えられます。
ダニ、アザミウマ、アブラムシ用の殺虫剤(アドマイヤー、オルトラン、トレボン、スミチオン)を春から秋にかけて散布しましょう。
発症した株は廃棄し、発病した場所へは1年間植えないようにしましょう。
葉にスポット状の黒い点が現れる黒点病や、葉の一部が茶色く変色するべと病など見つけ次第、葉を取り除き殺菌剤で消毒します。葉や花を切るハサミから病気にかかることのないよう、普段から清潔なハサミやカッターを使用するのも大切です。
わが家のクリスマスローズ(写真集)